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梢の手作りエッセイ


2008.06.30

梢の手作りエッセイ 17号『一宮女子短期大学家政学科第三部』


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   ★☆★ 梢の手作りエッセイ 第17号 ★☆★
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コットン生地でバッグやお弁当袋などを作るお店です。
店を始めたいきさつや手作りの楽しさ、面白さ、作りながら思
うことなどを綴ります。
いつもは言えない苦労話もときどき……ね。
♪♪♪〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪♪♪

『一宮女子短期大学家政学科第三部』

今回は梢のプロフィールです。ごくたまに人から尋ねられるの
で、思い切って若いころのことを書きました。
少々長いです。よろしくお付き合いのほどを…

高校卒業後、短大に進みました。家政学科第三部というところ
です。

「第三部って、何?」

聞いたことのない方が多いでしょう。通常、一部は皆さんご存
じの昼間勉強するコースです。二部は夜間勉強するコースです
ね。これはよく耳にすることだと思います。

第三部は、まず1週間、午前中3時間だけ勉強します。次の週
は午後3時間だけ勉強します。3時間だけの学校でした。

「じゃあ、後は何するの?」

短大は愛知県の一宮市にあります。繊維産業の盛んな街で、多
くの繊維工場があり、早朝から深夜まで工場が動いていました。
午前中だけ勉強したら、午後1:30から夜10時まで、紡績工場
で糸作りをします。次の週は朝5時〜1:30までが仕事です。工
場と短大がシステムのようになっていて、働きながら勉強する
人にはありがたい環境でした。

当時はまだバブルのはじける寸前で、繊維産業が潤っていたん
です。それで工場では高校卒業したての若い働き手が欲しくて、
短大は学生を欲しかったんですね。そして私は勉強したかった
… 三方良しというシステムでした。3年間、工場の寮に入って、
敷地内の工場で働き、会社のバスで短大まで送迎してもらう。3
年間がんばりさえすれば、入学金も学費も会社が出してくれま
す。教科書も裁縫道具も布代まで出してくれました。寮だって
タダです。3度の食事は給料から少々引かれたのかな? これだ
けしてもらった上に、給料も少し出ました。至れり尽くせりで
しょっ。

その代り、途中で辞めると悲惨です。すべて会社に返金しなけ
ればならないんです。会社だけを辞めるとか、短大だけを辞め
るとかできないんです。辞める時には両方辞めるしかないんで
す。親に迷惑をかけるわけにはいかず、自分だって辞めてから
お金を返すことはとても大変で、入ったら最後、何が何でも卒
業するしかない… という、天国と地獄みたいなシステムでし
た。

そのシステムに自ら飛び込んで、3年間働きながら学びました。
勉強時間が短いので、短大なのに3年かかるんですね。家政科
で縫物の基本をサラッと勉強しました。どうしても時間が少な
いので、深く学ぶことはできませんでした。毎日、毎日眠気と
の戦いです。教室にいても先生の声が全く聞こえないんですよ。
授業の90分をまるまる居眠りで過ごしたことも… トホホ〜
な短大生でしたね。

ほんとに私の時代までがラッキーだったんですよ。何から何ま
で全額会社負担だったんです。1学年下からは学費のみ会社負
担、その下になると半額自己負担、さらにその下は全額自己負
担(寮や食事、バス送迎はつくらしい)。どんどん変わっていきま
した。

残念ながらお世話になったその会社は、私の2学年下の後輩が
3年の時に、倒産してしまいました。たくさんの学生がほかの
工場に散り散りになっていったと、ずっと後で聞きました。バ
ブルがはじけたんですね。後輩から聞いて大変だったんだなぁ
と思いました。

私と同級生までは、バブルの恩恵をたっぷりと受けることがで
きました。ほんとにラッキーだったと今でも思います。その代
りがんばりましたよ。

12畳の1つの部屋に、先輩後輩が入り混じった4人で寝起きし、
早朝、眠い目を擦りながら工場まで走って行きました。その上、
工場では失敗ばかり… 食堂でかき込むように昼食をいただい
たら、さっと着替えてバスに飛び乗って、短大まで通いました。

途中で辞めると大変なのに、「一緒にがんばろう」と誓ったメン
バーたちはどんどん辞めていきました。入社して一カ月ほど経
ったころ、親しくしていた友達が真っ先に辞めてしまったんで
す。その後、次々に辞めるメンバーが出ました。卒業したのは、
同じ寮の同級生で言うと、27人中、13人… 
遊びたい盛りをがまんできない子たちが去って行きました。

とても大変だったけど、がんばって卒業してよかったなと今で
も思います。当時、苦労して学んだことが今の私を支えていま
す。若い日の汗と涙で勝ち得た裁ちばさみで毎日裁断していま
す。あっ、工場で小さなケガをちょくちょくしたから、血も流
しましたね(笑)

時代の流れの中で、家政学科は消えてしまいました。でも、他
の科でまだ第三部は続いているようです。

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