2008.05.23
平野貞夫のISC政治塾 第11号 2008年5月23日
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平野貞夫のISC政治塾 第11号 2008年5月23日発行
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□□□□ 筆者 : 土佐南学会塾長 平野貞夫
□□□□□□□ 発行 : CMF国際財団
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『真のガバナビリティーとは何か』
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Governabilityを辞書で調べると「統治できる状態=統治能力」とある。 政党や
政治家すなわち政権側が、人々を統治し支配する技術や能力のことを意味してい
る。教科書的にはそういうことであろう。しかし、実際の政治において政権側が、
適切な政治を続けていくためには、一方的に上から人々を統治とか支配するとい
う発想では失敗となる。
(政治家や政党の統治能力とは何か。教科書を離れて考えてみよう。)
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「自己抑制」を効かした政治
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昭和40年代の終わり頃、日本の国会が与野党伯仲となった。自社55年体制で自民
党単独政権が20年近く続いたが、田中首相に象徴される全権政治が批判され、参
議院で与野党の差が少なくなり、自民党は国会運営に苦労するようになる。この
頃、私は、衆議院事務局にいて前尾繁三郎議長の秘書をしていた。前尾議長は戦
後政治家の中では、政治の理想と現実をテーマに、もっとも勉強を重ねた学者政
治家であった。政(まつりごと)の心』という著作で知られていた。その前尾議長
から「ガバナビリティーの本当の意味を調べるよう」宿題を出された。田中内閣
から三木内閣に変わった昭和49年の春であった。
明治時代に近代国家となって以来、その時々の政権がどんな政治を行ったのか、
表側だけでなく裏面史も含めて調べてみた。強圧的な政権をやった例や、軟硬入
り交じったかけ引き政治をやった例とか、国民に評判のよかった政治、批判され
た政治などをまとめてみると、次のことがわかった。国民に支持され長続きした
政権に、共通していることは、政権内においても対立関係においても、「自己抑
制」を効かした政治を行っていることである。戦前の政治や占領時代の話は、別
の機会とするが、戦後自民党単独政権が長く続いた原因もここにある。例えば、
池田内閣や佐藤内閣を検証してみると、派閥連立政権であるがため、政権を維持
するため他派閥に配慮した人事を行っていた。政権樹立にさんざん苦労した政権
派閥の実力者を論功行賞としなかった。政策も他派閥の考え方を取り入れて活用
した。
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「主体性をもった自己抑制政治」
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そういえば、野党の社会保障政策など、主張立案の数年後にはいつの間にか、自
民党の政策とする狡猾さがあった。こういう自己抑制型政治が、昭和50年代から
崩れることになる。そして自民党政治は国民を大事にすることを忘れ、カネと票
を出す支持者のための政治と変わる。いわゆる政官業の癒着政治だ。これが国民
の批判を受けるようになると、野党の一部を仲間に入れ連立政権として、共同の
利権を追うようになる。
ようやくそのカラクリ・税金の無駄使いが、年金や道路そして老人医療で国民の
目に見えるようになった。自民党政治が、自己抑制を失ってから、日本は狂って
きたといえる。福田内閣が急速に支持率を下げていったのは、この自己抑制の政
治を放棄したからだ。参議院が野党多数という状況で、自己主張を中心とする政
治ができるはずはない。「新テロ法・ガソリン暫定法・道路財源特例法」と3回
も続けて、衆議院で再議決を強行した。しかも、いずれも国民の70%が反対する
法案である。
国民はいよいよ自民公明政権を見限り、民主党に政権を期待するようになった。
その民主党が政権を担当できるのは、すなわち、次の総選挙で勝利するために必
要なことは、政党として「自己抑制」ができるかどうかにある。大人になれるか、
どうかともいえる。もっと言えば「主体性をもった自己抑制政治」ができるかど
うかである。それは、民主党のよりどころ=主体性を守り、他の人や組織の主張
をよく聞き、主体性にたがわない考えを取り入れることだ。ただし、自民党の利
権政治に妥協しないことが条件である。
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