2008.06.16
遺言書作成倶楽部 第10号 実践編3
遺言書作成にあたり、必要な書類をそろえましょう。
自筆証書遺言の場合は、かならず用意しなければならないと法定されている書類はありません。
しかし公正証書遺言の場合は、作成にあたり公証人役場に提出しなければならない書類があります。
そこを比較しながら検討していきたいと思います。
〜不動産登記謄本〜
相続財産に不動産が含まれる場合、公正証書遺言においては必ず必要になる書類です。
自筆証書遺言においても、後の紛争を回避するためには地番、地目、地積、家屋番号、床面積などを明確にしておいた方がよいでしょう。
そのためには不動産登記謄本が必要になります。
不動産登記謄本は正式には「不動産登記事項全部証明書」といいます。
不動産登記謄本を取得するには、管轄の法務局、支局、出張所などに申請することになります。
また現在ではオンラインによる申請も可能になっています。
詳しくは、各地方法務局のホームページをご覧ください。
〜固定資産税評価証明書〜
不動産登記謄本と同様に、相続財産に不動産がある場合、公正証書遺言においては必ず必要になる書類です。
公正証書遺言の作成手数料は、財産の総額により決まりますので、この作成手数料の算定のために必要になります。
自筆証書遺言においても、各財産の価額を把握しておかないと、分割指定において遺留分を侵害することにもなりかねません。
遺言を無効にしないためにも、是非用意しておきたい書類です。
固定資産税評価証明書は、各市区役所、町村役場などで取得することができます。
〜相続人の戸籍謄本および住民票〜
公正証書遺言においては必ず必要な書類です。
遺言書を正確に作成し、後の紛争を防止するために要求されている書類です。
自筆証書遺言においても、同様な理由で準備しておいた方がよいでしょう。
万一、遺留分権者が相続人から漏れていたりすると、遺言が台無しになってしまいます。
戸籍謄本でしっかり法定相続人を確認し、正確な遺言書を作成しなければなりません。
〜遺言者の印鑑証明書および実印〜
公正証書遺言において必要になります。
遺言者本人か否かを確認するためです。
印鑑証明書は、3か月以内に発行されたものでなければなりません。
印鑑証明書は自筆証書遺言に関しては、特に必要ないでしょう。
しかし、遺言書に押印する印章は、遺言書の偽造・変造を防止するため、実印を用いるのが安全です。
〜預金通帳および株券の写し〜
公正証書遺言においては必ず必要です。
自筆証書遺言では必要ありません。
しかし、預金に関しては相続開始時の残高が相続財産になりますので、預金高が変動する可能性がある場合には気をつけなければなりません。
あえて金額を記載せず、口座番号などのみの記載にとどめておくのも1つの方法です。
しかし、預金残高に大幅な変動が生じてしまうと遺留分を侵害する可能性も出てきます。
預金高に大きな変動が生じたときには、遺言書を新たに書き直すことも検討する必要があります。
株式の価額評価については少し複雑になりますので、また別の回に説明したいと思います。
〜その他、公正証書遺言で必要な書類〜
―各証人の住民票―
証人が欠格者でないことを証明するために必要になります。
―法人登記事項証明書、代表者の印鑑証明―
受遺者に法人がいる場合に必要になります。
前号で解説した財産目録、相続人名簿以外にも以上のような書類を準備しなければなりません。
紛争を未然に防ぎ、無効にならない遺言書を作成するのは結構大変ですね。
==========今号の特集==========
〜遺留分を侵害する遺言は常に無効になるか?〜
このメルマガでは「遺留分」について、かなり触れてきました。
では遺留分を侵害する遺言は常に無効になるのでしょうか?
遺留分は、相続人に対して最低限度の相続権を保証する制度です。
遺留分に関する民法の規定は基本的に強行法規と考えられており、規定に反する遺言をすることは許されません。
ただし、昭和35年の最高裁の判例によると、遺留分を侵害遺言も当然に無効になるのではなく、単に遺留分減殺請求に服するにとどまるとされています。
つまり、遺留分権者が遺留分減殺請求権を行使しなかった場合には遺言は有効になります。
そして、この請求をするかどうかは遺留分権者の意向に任されています。
相続人の中には遺言者の意向を尊重し、あえて請求しないという場合もありえます。
その場合には、遺留分を侵害する遺言も、特に問題なく効力が認められることになります。
遺言の中で、一部の相続人に遺留分を侵害する遺言をする場合、説得力のある理由とともに、請求をしないよう求める付言を残すこともできます。
ただし、このような付言に法的拘束力はありませんので、遺留分減殺請求権の行使を禁じることはできません。
しかし、遺留分減殺請求権は相続開始前であっても、家庭裁判所の許可を得て放棄することができます。
場合によっては遺留分を侵害される相続人の理解を求めて、遺留分減殺請求権を放棄してもらうという裏ワザもあります。
ただし、遺言者の発意によって家庭裁判所に申し立てをした場合、申立人の真意に基づくものではないとして却下された判例もあります。
遺留分減殺請求権の放棄の申し立ては、十分な注意が必要な裏ワザです。
この裏ワザを使うときには、弁護士や行政書士などの法律専門家に相談した方がよいでしょう。
遺言に関するお問い合わせ、ご相談、ご依頼はこちらまで。
行政書士 古川法務事務所
メール furukawa-houmu@tulip.ocn.ne.jp
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