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ブライダルのプロカメラマンが見た結婚の真相


2008.06.17

情念の壁


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プロカメラマンが撮った写真は全て、素人が撮った写真よりもいい写真である、なんて大嘘である。

プロカメラマンが撮った挙式、披露宴の3百カットの写真があり、その中の1枚を抜き出したとする。
それと、まったく同じシーンを新郎や新婦の友人が撮った写真と比較すると、友人の写真の方がよく見えた。
なんてことになると、プロカメラマンの面目は丸潰れだと思われるだろう。

しかし、何枚かは、そんな写真がきっとあるだろう。
素人の新郎や新婦の友人カメラマンたちに混じって撮影しながら思うことがある。

披露宴が始まって、主賓のスピーチ、ケーキカット、乾杯などが終わる。
すると、友人たちが新郎、新婦の席のまわりにポツポツと集まってくる。
そして、友人たちとの談笑が始まると、それまでの緊張がいっきにほぐれ、新郎・新婦の最高に自然な笑顔が現れる。
挙式開始前から新郎、新婦に密着して撮影を始めるのだが、そんな笑顔は当日初めておめにかかる。

もちろん、そんな新郎、新婦の笑顔をこっそりと、友人たちの横や隙間やかげから撮影している。
新郎、新婦は、友人たちと談笑しながら、その友人たちのカメラの被写体になっている。
つまり、友人たちはベストポジションで、最高の笑顔を引き出して撮影している。
これこそ、まさに、情念のなせる技である。
そんな情念の壁を感じることは、よくあることだ。

人間は、感情の生き物である。
だから、感情に伴っておこるおさえがたい思いを消し去ることはできない。

だから、12年もこの業界で生きてきたにも関わらず、いまだに頭をよぎる思いがある。
「新郎、新婦が私と相性のいい人だといいな〜」っていう思いである。

しかし、そのよぎる思いは、押しとどめようと努力する。
そして、新郎、新婦に初対面した時、2人のことを好きになろうと努力する。
どんなに苦手なタイプであっても、「本当は好きだったはずだ」と自分に思い込ませようとする。
こちらが好きになれば、相手もそれなりに応対してくれるものだ。
前回、回りのスタッフの人たちとの人間関係が大切だと書いた。
新郎・新婦との人間関係はさらに大切である。

こうした感情のコントロールができなければ、ブライダルの仕事、特にスナップ撮影の仕事は難しいように思う。
100人の人がいれば、その内の1人や2人は最悪の相性の人がいてもおかしくない。
長年やっていれば、必ず、そんなお客に巡り会う。
そして、それが結果(写真)に影響しない、といったら嘘になる。

しかし、そんな時にでも、それなりのレベルの結果を残してはじめてプロである。
そのために写真会社は、プロとしてデビューさせるまでに、何ケ月も研修生として経験を積ませるのである。

とは言いつつ、この業界は、まだ発展途上の段階にある。
なかには、しっかりとした研修を行っていない写真会社があるかもしれない。

本当を言えば、司会者やプランナーのように、事前に新郎、新婦とカメラマンが会えればいいのだが。
大手の写真会社では、いろいろな事情で難しいように思う。
プロカメラマンと新郎・新婦が友達のような関係になって撮影にのぞむのが理想なんだけどね。


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