まぐまぐメルマガアーカイブ

澪温泉物語


2008.06.16

澪温泉物語               貝原 潤


メルマガトップ(記事一覧)へ
| 最新号 |

洋一たちは金ちゃんのコーチに従った。金ちゃんが、
”インステップで蹴ってごらん。どれだけ飛ぶか見てみるから。”
と言ってゴール側からセンターサークルに向かって3人とも思いっきり蹴ってもらっ
た。
洋一と宮崎はハーフラインの半分くらいだったが、藤家が蹴ると、彼らの2倍ハーフラ
インまで達した。これには、練習していた高校生、中学生がびっくりした。
藤田がすごくうれしそうにしていた。練習が終わり、中学生だけが集まった。山隅が言
った。
”粕谷と藤家だけが皆を知らないので紹介しとく。まず僕がキャプテンの山隅だ。二人
とも同じ部屋だからもちろん知っているけど、次に3年生の副キャプテンの但馬、会計
の宮下、それから、横山、木下、阿南、稲嶺、後藤田、澤近、高田、それから2年の藤
田は知ってるな。サッカー気違いだ。その他、宮島、近藤、横田、豊島、福田、湯野
浦、平木、南そして1年がさっき言った、湯来、カルロス、吉田、境、川崎、田端、そ
して磐田は知っとるだろうけど、一応紹介しとく。さっき言ったように、明日、藤田、
藤家、粕谷、宮崎、湯来、カルロスは買い物に行って遅れてきていいから、いいのを買
ってこいよ。”
其の後をついで、フランシスコ先生が、
”オカネアリマスカ?”
とスペインなまりで言ったので、さっきの山隅の言葉を思い出してみな笑った。
すると藤田が、
”先生、1万円貸して下さい。”
と言ったので、フランシスコ先生は、
゛アナタ、タクサンシャツモパンツモ、クツモモッテイルデショウ。5000円ニシナ
サイ。アトデ舎監シツニトリニキナサイ。“
と言われて、
“はい判りました。”
と素直に答えた。南が、
”お前は、俺の5倍以上もっとるけんな。”
と言ったので、みなどっと笑った。

翌日、昼食を食べた後、洋一と藤家は校門で待っていた。
やがて宮崎がきて、カルロスと湯来がやってきた。みなで藤田を待っていると、
”ごめんごめん。今日掃除当番だったから、ちょっと遅れた。”
と言って藤田が現れた。
みな電車で、通町筋まで乗った。そこから下通を歩いていると、
熊本市内に住んでいる宮崎が、
”ちょっと蜂楽饅頭ば食うていこう。ブラジルから来たもんは食べたことがなかろうけ
ん。おいしかぞ。”
と言うと、藤田が、
”俺も食うたことがなかけど、そがん暇なかぞ。すぐ練習ばしに帰らなんけん。”
言ったが、カルロスが、
”ニホンノマンジュータベタイデス。”
と言ったので、
”それじゃあ1個ずつな。”
と言って、蜂楽饅頭屋に入って行った。席に座り、宮崎が、
”蜂楽饅頭6個、黒3つと白3つでよかですね?”
と聞かれたので、宮崎以外は皆初めて食べるので、静かにうなずいた。
店員が、
”これが白で、こっちが黒です。”
ともってきたので、
”俺は白。”
と宮崎が白を取ったので、みな白を欲しがったが、
洋一は遠慮して黒を選んだ。そうすると藤家も、
”俺も黒でよか。”
と言ったので、藤田も、
”しょんなかたい。俺が年上だけん黒でよか。”
と言って黒あんの蜂楽饅頭にかぶりつくと、
”うまかー。こぎゃんうまか饅頭が熊本にあったつか。”
”山隅さんが甘かつがすきだけん、こうていこう。
すみません饅頭ば20個持ち帰りにしてください。”
とさっきまでの藤田とは急変した。
”俺たちの寮は、みんなおるけん、205号室で食わせてくれな。山田も甘かつばすい
とるけん。”
洋一は、島田寮は何かお菓子を食べるのもおおっぴらには食べられないんだなと気の毒
に思った。藤家が、
”寮に帰っても食べられるとですね。”
と言うと、カルロスと湯来も、
”俺たちも言ってよかですか?”
と言ったので、宮崎は自分が認められたようで嬉しそうに、
”ね!食べに来て良かったでしょう。”
と言った。
蜂楽饅頭を持って、山川スポーツ店に行くと、黒人の選手がポスターになってその下に
サッカーシューズが置いてあった。藤田が、
”おーペレじゃん。”
と言うと、湯来が、
”ペレは王様と言う愛称で本名は、エドソン・アランテス・ド・ナシメントと言います。日本でも有名ですか?”
と聞かれたので、藤田は、
”スウェーデンとチリのワールドカップで大活躍して優勝に導いたじゃないか。”
と言ったので、カルロスと湯来は大喜びで、ブラジルのサッカー談議が始まったが、
洋一はちんぷんかんぷんだった。藤家に、
”ワールドカップてなんね?“
と聞いたが、
”さあー”
と言って、二人で宮崎のほうを見たが、
”ごめん俺もなんかさっぱりわからん。ペレも多分このポスターの人だろうとしかわか
らん。“
と言うと、店員がそれを聞きつけて、
”ブラジルの英雄ですよ。ペレ仕様モデルのサッカーシューズあと2足しかないですよ。”
”俺、買います。”
藤田が言った。1足4000円もするので、他の3人はもっと安いのを買った。シャツ
と短パン、ストッキング、すね当てをそれぞれ買って、ブラジル人の2人を見ると、い
ろいろ見ているが、買ってはいない。
藤家が、
”買わんのか?”
と聞くと、
”ミナタカイネー。ブラジルデハモットヤスイヨ。”
と言って、湯来も、
”ブラジルでは3000円あれば全部そろえられるし、ペレの靴も2000円くらいであるよ。”
といったので、藤田が、
”おれ、サントスのユニフォーム欲しい。買って送ってもらってくれ。”
と言ったので、湯来が、
”父に手紙書いて買ってもらうよ。”
と藤田に言うと、藤田は満面の笑みを浮かべて、
”オブリガード。”
と答えた。洋一と藤家と宮崎は別世界にいるみたいだった。
”さあーみんな準備ができたので、帰って練習するぞ。”
藤田に率いられて全員電車に乗り込んだ。
 ----------------------------------------------------------------------
  澪温泉物語
    発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
    配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000263881.html 
  ----------------------------------------------------------------------


メルマガトップ(記事一覧)へ
| 最新号 |

このページのURL
友達にメールで教える
まぐまぐアーカイブ検索

Web Services by Yahoo! JAPAN

アート・文芸ランキングトップ
まぐまぐアーカイブトップ
sお問い合わせ

姉妹サイト
携帯メルマガ:ミニまぐ
ニュース・芸能:いつもば
ショッピング:まぐギャザ
簡単レシピ:3分クッキング
無料RPG:もりもりクエスト
クサイせりふジェネレータ
まぐまぐ自費出版

(C)まぐまぐ