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澪温泉物語


2008.08.15

澪温泉物語               貝原 潤


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翌日、朝から数、英、国の順番で週間テストがあった。難問があったがいずれも問題集
をマイナーチェンジしただけだった。相当勉強したので洋一はかなりできた。テストが
終わって皆、前回より難しかったと言っていたが、洋一は易く感じていた。一日の授業
が終わりサッカー部に行った。みな早く来てリフティングをしている。カルロス、湯来
の実力が判ったので、自分達もそこまで追い付こうと頑張っている。2年の近藤や宮島
も熱心にリフティングに励んでいる。最近洋一は、藤田に対抗しているのはこの2人で
あることが分かった。この2人はサッカーは強いにこしたことはないが、サッカーはた
だの遊びであり、勉強や日常生活を楽しむことも大事であると考えているようだ。藤田
は1日中サッカーのことを考えているような存在なので2年生では反目している者たち
がいるらしい。それに藤家が藤田教とも言えるくらい藤田に傾倒している。そして。近
藤も宮島も熊本市内の自宅から通ってきている。熊本県の地方から出てきた者や、奄美
大島、沖縄などから来た者に比べ、熊本市内のいわゆる通学生は何となく洗練されてい
るように思える。全員が集まって、走って、体操、柔軟体操、パス、リフティングが終
わると、シュート練習、3人の3角パスで走りながらパスして行きシュート、3人が走
り一人が外に流れてボールを出しボールに近い一人がシュート、右と左にボールをあげ
る者が2人ずつ集まりその人が高い球のボールをあげて真中から2人ずつ走りこみシュ
ート:この練習の時、洋一は左からボールをあげるように言われた。藤田が山隅に粕谷
は本当は左利きだと話してるからだ。ボールをあげると面白いようにいいボールが中央
に集まった。
”粕谷いいぞ!これからこの練習のときはいつも左足で、左からボールを出すように。“
と言われた。実は火の国学園の中学生のサッカー部には左利きは一人もいなかった。近
藤、澤近が左のポジションを持っているが、いずれも右利きで、できれば本人たちも右
のサイドに行きたかった。しかし相手側は右の人がうまいのが多いので、守備を重視す
る火の国学園は左側によりうまいほうを持ってきていた。しかし本来の左なら、ボール
を蹴るのもドリブルするのも有利である。今日も熱心な練習の後居残ってリフティング
の練習をするものが大半だった。昨日もそうだったが、6時半過ぎに慌てて寮の風呂に
入り、食事をして、7時ぎりぎりに点呼の場所に並んだ。白鷺が、
”またサッカー部はぎりぎりだなあ。“
と文句を言う。点呼の後は2時間の勉強時間。その後30分の休み時間。磐田が、
“お前ら、腹減ってないか?”
と聞くので、
”いつも今頃の時間は腹が減ってしょうがないんや。“
朝も運動し、夕方も運動する藤家と洋一にとっては夕食を食べてもすぐに腹が減る。
”食堂で、うどんとちゃんぽんを売ってるで、食いにいかへんか?“
”エーそんなの売ってるの。行く行く。“
と言って、藤家、磐田、洋一が1階の食堂に降りていくと、うどん25円、ちゃんぽん
50円と書いてあり、うどんのほうに多く並んでいた。藤家と洋一は量の多いちゃんぽ
んに、磐田はうどんのとこに並んで持ってきた後、3人で食った。ちゃんぽんにコショ
ウをたくさんかけて食べた。洋一は調味料をたくさんかけるのが好きである。
“うまい!”
洋一が言うと、藤家も、
“これうまいな。”
と言った。磐田が横目で見ながら、
“ちょっとひと口だけ食べさせてえな。”
と言う。食べさせてやろうと思ったが、
”だめ。明日ちゃんぽん食べろ。“
と言って物欲しそうな磐田に、
”冗談だよ。食っていいよ。“
と少し食べさせる。
”こりゃあうまいわ。明日からはわしもちゃんぽんだわな。“
あまり、わしと言うことを聞きなれない藤家と洋一は
“ははははは”
と笑いながら、
“わしらも明日はちゃんぽんじゃー。“
と言う。あっという間に休み時間は終わり、しかし洋一は、9時半からの勉強時間は眠
さとの対決だった。やっと10時半になり、すぐに歯を磨いて眠りについた。

洋一は左足でボールを扱うことを主体としてから、すごく積極的にサッカーをするよう
になってきている。今朝も5時前に自然に目が覚めた。藤家、山隅の5時のベルが洋一
が起きた後鳴る。藤家は、
”最近お前早いなあ。“
と言った。その声に磐田も目を覚まし。
”今日は俺も行くでー。お前らリフティングはみんなより一歩進んどるからな。“
3人でグランドに出ていくと、今日も藤田が先に来ていた。
”おお!磐田も来たか。そしたら、リフティングにあきた後2:2をしようぜ。“
“2:2?”
“そうや。2人ずつ組んでボールの取り合いをするんだ。面白いし練習になるぞ。”
”俺たちもよく小学校の時してたんや。“
”わしもしてたんや。“
洋一がからかって言った。藤田はきょとんとしている。
”藤田さん。磐田が昨日わしと言ったんで、洋一が、からかっとるんですよ。“
“ほう。うちのおばあちゃんもわしとよく言っていたな。”
“俺はもうわしとは言わん。“
磐田がふてくされる。
リフティングは磐田を除いて3人ともかなりできるようになっている。磐田は、
“俺も毎朝しようかなあ。でも毎日は眠いしなあ。“
”お前は小学校の時からしてるからいいよ。俺たちはリフティングが各々100回でき
たらカルロスと湯来からサッカーを習うんだ。そしてお前レベルになったらまた一緒に
やろうや。“
と藤家が言う。
”そろそろリフティングが飽きたようだな。2:2をやろうぜ。俺と粕谷、藤家と磐田が組になるんだ。さあ始めるぞ。“
藤田がボールを持つと全然取られない、洋一のとこや洋一のパスミスで取られ。藤家も
洋一と藤田が攻めていくと慌ててミスをしてとられる。意外と磐田は経験者だけあって
なかなか取られない。しばらくすると息が切れて汗びっしょりになった。
“これはかなりハードですね。”
“おお。本気でするとかなり疲れるもんだが、お前らは無駄な動きが多すぎるんだよ。”
見ると藤田はあまり汗をかいていない。
”アウトサイドパスの練習して終わりましょう。“
洋一が言うと、
“おう。そろそろ7時だな。”
と言って、4人でアウトサイドパスをする。
藤家も洋一もかなりうまくなっていた。磐田は自然にアウトサイドをこなしている。
”磐田。おまえうまいなあ。“
“ああ。クラブチームで鍛えられたからな。”
“リフティングは習わなかったんか?”
”それはカルロス達から初めて聞いたんだ。“
アウトサイドをしながら話していると、
“おいもう6時50分だぞ。”
と言われ、急いでシャワーを浴びて7時10分の点呼に向かった。点呼の時には制服に着替えてネクタイをしていないといけない。
“最近俺たちいつもバタバタしているなあ。”
洋一は言った。
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  澪温泉物語
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